大 き な 間 違 い 2006年ゴールド/VIPミリオネアー・グループ討論会にもとづく From:ダン・ケネディ 今回行われた討論会について詳しくはなすつもりはないが、その中で起きたある出来事について、これからお話をしよう。 あるメンバーが「ホット・シート」につき、自分のビジネス、過去、未来について語っていた。ある地点で、別のメンバーがかん高い声で突然、迅速かつ簡潔に、あるアイディアを提案した。 ホット・シートに腰掛けていたメンバーは、彼のことに気づいたが、無視して、自分の次のプランについてずっとはなし続けた。 わたしは、その瞬間はとくに話を止めることなく、事態を受け流していたが、少しあとでよく考えて、先ほど起こった事態についてはなしをするために、その会議を一時中断した。 不幸なことに、こうした出来事は非常に頻繁によく行われることである。賢くて成功しているビジネスマンでさえも、自分が聞いたり、読んだりするアイディアや、自分へなされた提案を、自分のビジネスにはそぐわないものと、あまりにも頻繁に、無条件的反射的反応ですぐに判断しすぎるのである 自らの意識の焦点のあり方が、 この場合、より賢明なリアクションは、提案やアイディアをノートに取り、確実にそれを理解することであり、もし、脱線させられるのがいやであれば、いったんそのメモを脇へ置いておいて、あとで改めて考えてみることである。 しかし、必ず、それについて実際に考えてみることである。 あなたのもとへ押し寄せる、または、あなたが熟考すべきアイディアや提案のすべてが、あなたのビジネスに対する現在の「青写真」や、何がうまくいき、どこを目指しているのかというあなたの信念から確立された数々ガードや、ディフェンスと衝突する。―その結果、あなたの築いたガードやディフェンスをかわせなかった全てのアイディアや提案は、自動的に、不注意にもはねつけられてしまうのだ。 マクドナルド社は、革新的な加盟店数店舗の勢力と長期間にわたり必死に戦ったすえ、彼らの一貫した願いである、ブレックファースト・ビジネスへの参入の提案を受け入れた。 それまで、マクドナルドは全店舗、11時オープンであった。同社は、結局のところ、ハンバーガー・ビジネスが中心だったわけである。まさにこの「ブレックファースト」というアイディアが入り込む余地などなかったのである。もちろん、今では、このブレックファースト・ビジネスは、総利益の3分の1を占めている。わたしの考えでは、純利益では、さらにもっと高い割合をしめているはずである。 しかし、そこまで持続されるアイディアは、少ないものである。 しかし、最悪なのは、自らの意志で、新しく、変わったアイディアや提案を求めて、そういう(ディスカッションの)場に参加しているのに、尚もディフェンスを崩さず、ディフェンスとぶつかるものをすべて、即座にはねつけてしまうことである。なぜ、わざわざマスターマインド・ミーティングに参加してまで、こんなふうな行動を取るのか? セミナーやコンフェレンスやこうしたマスターマインド・ミーティングで、「自分たちと同じような」や「よく似た」ビジネスをしているとみなしたひとたちには注意を払うが、異業種で無関連なビジネス従事者が発言をするときには、他のことに注意を取られているひとをわたしは見かける。 こうしたことがすべて似たり寄ったりの業界をつくってしまうのだ。飛行機内の(毒性の)空気が機内を循環するように、似通った考えや経験がある業界内を循環することになるのだ。(その後、航空機は、喫煙を全面禁止にして、もはやフライト中に新鮮なキレイな空気を必要としなくなったが。) 経営者同士の会合などに参加することの意義は、斬新なアイディアを発見し、そのアイディアを検討することにある。こうしことから、わたしは2007年に予定しているコーチング・グループ・ミーティングでは、ノートパソコンの使用を全面禁止することに決めた。 わたしは、参加者の方がノートを取るために、ノートパソコンを使用しているのを知っているが、また同時に、それが、サイトを覗いたり、メールのチェックをしたりして、会合に完全に集中すべきときに、コンピューターのお陰で、かなり注意が散漫になることにも気づいている。 従って、2007年のわたしの会合では、携帯もブラックベリーもブルーベリーも、ノートパソコンも禁止である。もし、この提案を支持できない者がいるなら、単に、会合への参加が禁止になるだけだ。 では、はなしを「ふさわしくないアイディア」に戻そう。マクドナルド社の例が、わたしが個人的に知る数百件のうちの1つの例であり、わたしが知らないだけで、同じような例は数万件とあるに違いない。 そこで、覚えておいてほしいことは、たいていふさわしくないアイディアというものは、ビジネス上の大躍進であることが判明するケースが多いということである。 それ以外にも、ビジネスとは、二種類の変化から成り立つことを覚えていてほしい。 おびただしい数のアイディアや、どんな人からのどんな提案でも喜んで応じることを提唱しているわけではない。−たとえ正真正銘の専門家からの提案であったとしても。 わたしは、実際に優れたアイディアや重要なすべてのチャンスに応じることさえ、提唱しているわけではない。 あなたが成功すればするほど、新しいことに対処するのがますます難しいことになるか、または、あまりにも多くのチャンスがあふれかえって、ますます身動きが取れなくなるか、または、あまりにも多くのアイディアがあふれて、ますます身動きが取れなくなってしまうかのどれかだろう。 あなたと同じようなビジネスをしている人があることをしたからといって、必ずしも、あなたもそれを同じようにしなければならないなんてことはない。 あなた自身の個人的な優先事項や比較の規模やチャンスごとの重要性や、難易度などを含めた実用性や利益以外にも多くの懸念事項がある。 しかし、あまりにも即座に、簡単に、ごう慢に、向こう見ずに、「そんなの、筋が通らない」とはねつけてしまうのは、大きな間違いである。 実際のところ、大半の人が、自分のビジネスにそぐわないアイディアを実際にはねつけることはない。というのも、そもそも、アイディア自体を全く、聞いていないのである。 今回の会合で、この出来事が起こってから一時間ほど後に、わたしがその出来事に触れた際、提案をされた側の相手は、自分が無視した提案内容がどんなものであったかさえ、わたしに言うことができなかった。 彼は自分がその提案を拒絶したことはわかっていた。しかし、自分が拒絶した提案の中身まではわかっていなかった。 要は、彼は、一度も実際にはその提案を聞いていなかったのだ。それを拒絶する前に、最初のほんの数個の言葉しか聞いていなかったのである。 それが自分のビジネスにふさわしくないという理由から、提案を聞いたしりから、すぐ否定的な対応をしておいて、何日か寝て過ごしたら、メリットに気づいたという経験が私自身、これまでに何度もあった。 それによって、大きな利益が生まれるという例も少なくない。あなただって、同じような経験をこれまでにしてきたはずである。しかし、アイディアが検証されることもなく、「ふさわしくない」という無条件的反射的反応のために、いったいどれくらい、このような経験をあなたが味わってきたのか、考えてみなければならない。アイディアを検討するチャンスぐらいは、与えねばならない。 コーチング・グループの場や、プライベートなコンサルティングの場で、それはいつも起こることである。わたしの提案やだれか他の者の提案が、検討されるチャンスさえ与えられず、拒絶されてしまうのである。 たいていの場合、わたしは、もはやそれに抗議したり、戦ったりしない。わたしはそれと戦う気力がなかった。しかし、今回はちがう。わたしが、参加グループ全員に言った同じことをあなたにも言おう。自分でこのことに気づくようにトライしてみてほしい。 意識的に気づくようにしてほしい。拒絶するまえに、どのアイディアも提案も紙に書いて、理解するようにしよう。 ところで、おなじ会合で、別のメンバーが明らかに非実用的な提案を即座に拒絶しようとしたが、無条件反射と戦い、きちんとその提案の可能性を検討していた。 彼は、総計200,000ドル以上稼ぐことになった。 やめなさい。
|
FC2 |